第15回日本エピジェネティクス研究会 年会(会期:2022年6月9日~10日)において、企業展示およびテクニカルセミナーを共催します。
テクニカルセミナーは後日の録画配信はございませんので、ぜひ学会ご参加の際はご視聴下さい。
展示内容:PacBio、Dovetail Genomics、他
テクニカルセミナー 1
日時:6月9日(木) 16:40 ~ 16:50
会場:九州大学医学部百年講堂 メイン会場(現地開催+ライブ配信 ※録画配信はありません)
演題:「近接ライゲーション技術(Omni-C/Micro-C/HiChIP)を用いた3次元クロマチン構造解析」
3D chromatin structure analysis by proximity ligation technology (Omni-C/Micro-C/HiChIP)
演者:越後 輝敦 (Akinobu Echigo, Ph.D.)
(トミーデジタルバイオロジー(株) アライアンストプロダクト アプリケーションスペシャリスト)
要旨:本セミナーでご紹介するDovetail Genomics社 の 近接ライゲーション技術(Omni-C/Micro-C/HiChIP)はいずれも従来のHi-Cの発展型となる技術で、遺伝子発現制御に影響を与えるユー/ヘテロクロマチン領域、TAD、Loop、近/遠位プロモーター・エンハンサー相互作用、タンパク質-タンパク質結合やタンパク質を介したクロマチン相互作用などについて、ゲノム全体にわたってバイアスなく包括的に、かつ高解像度に観測することが可能です。
遺伝子発現の制御機構は、細胞の発生・分化、細胞運命の維持、外部刺激への適応などの制御に中心的な役割を果たしており、その制御不全はがんやその他の疾患の発生・進行などにも大きく寄与していることが証明されています。近年では染色体のTAD(Topologically Associating Domain)やLoop構造といった3次元クロマチン構造が、数Mb以上距離が離れた制御因子を互いに近接させることで、遺伝子発現を適切に維持するために重要な役割を担っていることが知られています。このような空間的関係は、エピジェネティクス研究分野においては新規かつまだ多くは未開拓の領域ですが、Hi-Cのような近接ライゲーションに基づく革新的な技術の出現により、急速に発展しつつある領域でもあります。
エンハンサー・プロモーター相互作用は、遺伝子発現を制御することにより、細胞の状態や発生を決定する上で基本的な役割を担っています。ChIP-seqやATAC-seqなどの手法は、ヒストン修飾や転写活性化ゲノム領域のマッピングを可能にすることで転写機構の解明に役立つ有効な技術ですが、それらは特定の領域に限られ、ゲノムの全体像を捉えることは困難です。Hi-Cに代表される近接ライゲーション技術では、3次元クロマチン構造に関連した空間的特徴をゲノム全体で捉えることが可能で、3次元エピジェネティクスがどのように遺伝子発現を調節するかを理解する上で、全く新しい次元を追加することができます。
発表言語:日本語